2011年7月20日水曜日

ステークホルダーダイアローグってなぜやるのでしょうか?

企業活動において、影響を受ける利害関係者から、課題の抽出、または合意形成による決定を行うために行います。

実はこれはCSR特有の活動のように思っているかもしれませんが、「誰に」という軸と「何について」という軸を特定の組み合わせだと既に行われています。

■マーケティングリサーチ
こちらは、顧客に対して、自社の経済活動(商品価値)について、対話をします。アンケートの場合もあれば、実際商品を使ってもらいそのフィードバックをもらう等あります。この対話を通して、商品を改良して、企業は商品価値をあげていきます。

■IR
こちらは、株主に対して、自社の経営状況と今後の事業計画について、対話をします。(実際に企業の株主総会が対話になっているかは別として)もちろん、決議という重要な機能があり、上場企業はやらなくてはならないこととはいえ、これもダイアローグの一種です。その他株主投資家に対するメルマガを出していらっしゃる企業様や、優待をつけてらっしゃる企業様もいらっしゃいます。

■人事面談or社員アンケート
こちらは、従業員に対して、自社の職場関係等について、対話をします。アンケートや、面談、対話会等様々な手法があります。企業はこの対話を通じて、社員の不満やニーズを吸い上げ、経営に活かしていきます。

ちなみにアミタでは今、TOP自ら対話会を行っています。2006年の上場後、数々の新規事業部門の創設、大量の中途入社があり、様々な人が急に社内に入ってきました。そこで今一度経営TOPから企業の理念、創業の経緯、今後のビジョンを伝え、社員の質問にもそこで直接答えることで、社員の疑問、不安を解消し、経営TOPからうまく伝わっていること、伝わっていないことをTOP自身が直に理解し経営に活かしていく試みです。

■ステークホルダーダイアローグが難しそうに思える理由
いくつかありますが、経済性、社会性、環境性の3つの柱の中で、経済性以外のリレーションをきちんととってきた企業が少ないということです。経済性のリレーションは、顧客リストから、株主リスト、持っていない企業様はいないと思います。が、社会性や環境性の対話をおこなう際に、誰と行うかが難しいのです。

特に自然環境自体は狭義の意味で対話はできません。被害加害の因果が比較的明確な、公害型の環境問題は利害関係者が明確ですが、地球温暖化となるとすべての人が加害者でもあり被害者になります。どうしても現状は専門家となってしまいます。が、環境問題についてご専門でも、その企業をよく知っているかはまた別の話なので、つっこんだ議論にならない場合が多々見受けられます。

■環境性、社会性においてのリレーションが重要になる
即座の解決策はないですが、やはり社会性、環境性のお客様を増やしていくことしかありません。

1 企業の社会貢献活動、地域活動や環境活動への参加を促し、少しずつ関係性を育てていくこと
2 投資家、既存顧客に対して、社会性、環境性の対話を少しずつ増やしていくこと

将来的に経済性、社会性、環境性評価は少しずつバランスが取れていくほうこうにあります。
現在でも経済性評価で差がつきにくい商品サービスは、社会性、環境性において選択されるようになりつつあります。

将来の見込み顧客を育てるという意味でもCSR活動は企業にとって重要性を増すことは間違いありません。

■これからはTOPダウンから合意形成型へ
ISO26000を読んでいて、重要な転機が来ていると思うことがあります。近年企業は短期的、狭義的利益を得るために、権限を集中させて決裁権限によるトップダウンを行ってきました。しかし、それにより現代様々な問題が起こっており、そのためにトリプルボトムラインという経済だけでなく、環境、社会の3つの軸で企業活動を評価しようという動きになっています。

ISO26000が伝えようとしていることの中に、様々な価値観、評価軸とうまく対話し、長期的、広義的利益も目指しなさいということが入っていると感じています。今後も、スピードはもちろん企業の重要な指標でしょうが、対話による合意形成というものは重要になってくるはずです。

企業ですから毎年の決算報告にこだわるのはもちろんのことですが、いかにしてクリアするかの選択肢として、社会性、環境性の観点をバランスよく入れていくことがこれからの企業に必要とされていきますね。

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